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ジュエリーを愉しもう! ポルトガルの金銀細工フィリグラーナの制作や、ジュエリーと共に送るヨーロッパでの日々。

拡大してみると・・・

最近しばらく離れていた制作のほうに気持ちが向いていて、午後の明るい時間帯に一人黙々と作業に集中したりしてます。

アクセサリーって、実際に使う時は、見る人もある程度距離を空けて見るわけだし、フィリグラーナの細かい部分をルーペで観察するようなことはないので、全体のデザインのほうが美しさを判断する上で遥かに重要なわけですが、作る立場になると、細工の出来の良し悪しはすごく気になります。

出来上がった時に、肉眼で見て上手くいってるように感じていたものが、拡大して見るとアレレ???と思うこともしばしば。

写真を撮ってみると本当によくわかります。

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一応全部中を埋めてありますが、埋まった糸の数が、左から9本、そして10,11,12本、となってます。一番左の9本のを見ると、何ヵ所か隙間があるのが分かりますが、フィリグラーナは、びっしり詰まっているほうが断然美しく見えます。上手な職人さんが作ったものを見ると、11本か12本入ってるのが普通なようです。

この画像の4つは、全て私が作ったのですが、一番右のは、もう必死😆でした。

一本ずつ埋める時、嵌めて下をハサミでちょうどの長さに切るのですが、切った長さが少しでも短いとスカスカで落ちてしまうし、長過ぎるのを無理やり押し込むと、その後何本か入れた後で、ピンっと跳ねて全て崩壊したり。あときちんと真っ直ぐに伸ばして入れないと、他の後で入れた糸に押されていって頭か足の先がだんだん出てきてしまい、そのうちピンっとまた崩壊したり・・・。それを繰り返すことで、崩壊するパターンが少しずつわかってくるわけですが🤣。

イラっと来やすい方にはフィリグラーナは向いてないでしょうね。

 

フィリグラーナが伝統産業の町では、かなりの女性が若い頃にやっていた、試しにやってみた、という話をします。内職でお母さんがやっていて教わるようなケースが多いので。

私が通う工房も、兄弟で経営しているのですが、どちらの奥さんもフィリグラーナ経験済み。でも向いてなくてすぐにやめてしまった、なんて話をしてました。

 

私は毎日一日中この作業をするわけではないので、崩壊を繰り返して心が折れそうになりながらも楽しくやっていますが、この作業だけをひたすら毎日やっている職人さんって、立派だと思います。