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ジュエリーを愉しもう! ポルトガルの金銀細工フィリグラーナの制作や、ジュエリーと共に送るヨーロッパでの日々。

工房と職人さんたち

今日は午後の外出禁止2週目。土日だけですけど。
午前中にスーパーに行きましたが、特に混雑してる様子もなく、平日と変わらない様子でした。外出OKなのは13時まで。私も早めに家に帰り、食事しながら外の様子を見ると、13時を境に、完全にひと気はなくなりました。窓を開けていても本当に静かです。

昨日はインスタでちょっと私にとっては懐かしい、工房のご主人の画像を載せました。
こちらです。

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アントニオ・カストロさんです。もう何年も前の写真なのですが、実はこのとき、私はフィリグラーナの制作で工房を訪れていたわけではなく、ある日本のテレビ番組でフィリグラーナを取り上げ、取材で訪問したんです。

 

今日は、いつも私が制作をお願いしているこちらの工房のことを書いてみようと思います。


アントニオさん、実はこの取材のほんの数カ月後に亡くなられたのですが、当時80代後半のお歳で、バリバリの現役。この方がこの工房の創業者で、1950年代に設立されました。その後息子さんお二人が後を継ぎ、この頃すでに経営は息子さんに任せ、アントニオさん自身は製造部を率いていました。彼はとにかく芸術家肌で、博物館に展示したほうがよさそうなレベルの物をたくさん残したようです。その一部がこちら。

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工房の事務所のショーケースに所狭しと並べられているのですが、これ本当なら一つ一つスポットを当てて、いろんな角度で眺められるように展示したいものです。船、魚、昆虫、花、もうなんでもフィリグラーナで作ってしまうようです。

そしてここの工房は、雇われている職人さんたちもとにかく腕がいい。10代前半の歳からフィリグラーナ一筋の職人さんたちなので、細い細い金糸や銀糸を自由自在に操ります。きっとアントニオさんの指導がよかったのでしょうね。

今は、そのアントニオさんが長年使っていた席が空き、私が工房へ行って作業をさせていただく時、なんとその席を使わせてもらっています。

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奥の黒髪が私です。

ああ、こんな神聖な場所でやらせていただくなんておこがましい、という気もしますが、ここに座るといいもの作れそうな気もしたり(笑)。工房の人たちは全然気にしてないようで、他の席はいろんなものを置いていて片づけるのが大変だから、そこ使ってくれる?くらいの感じで、は、はい、分かりました、と素直に従ってます。

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↑溶接作業のコツを教わっていたところです。

そして、私にフィリグラーナのレースのような一番細かい部分の制作を指導してくれたのは、フェルナンダさん。この作業を担当する職人さんは通常女性です。そして、普段は自宅で作業をしているのですが、私が来ている時は工房に来てくれます。

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実はこの方、もう最強の職人です! 
これだけ長年フィリグラーナを見てくると、売り物でも細工の出来の良し悪しがはっきりと見分けられるのですが、彼女が作ったものはとにかく目が細かくて粒ぞろい、小さな隙間もしっかり細工を埋め、作品全体に完璧な美をもたらしてくれます。
私が左利きなので、少々教えにくそうでしたが、ちょっとしたコツなどもいろいろ指導してくれました。彼女自身の作業を見ているだけでは、速すぎて(笑)何がどうなってるのかよく分からないのですが、たぶんこういう作業ってリズムもあるから、見せるためにゆっくりやる、みたいなこともできないかもしれませんね。

さ、そして作品が完成し、長時間の洗浄を行い、最後の最後はブラシでゴシゴシ。

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以上、工房や職人さんたちを少しご紹介しました。

 

また機会があれば、他の職人さんたちもご紹介しますね。では今回はこのへんで。

※今回掲載した画像は、全てコロナ前の訪問時のものです。

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